タロット研究室/ヴィスコンティ版 その2
THE VISCONTI TAROTSへの誘い PIERPONT-MORGAN VISCONTI-SFORZA TAROCCHI DECK ★2005年 『大アルカナ集中講座★
Visconti Sforza Tarot Instructions by stuart R. Kaplan
U.S.GAMES SYSTEMS,INC
ヴィスコンティ・スフォルツァ・タロット

 今回は、ヴィスコンティ版特有のカード展開法をお伝えして参ります。
タロットの基礎はできているから、応用段階として、カード展開法のみ、学習したいというお問い合わせなども度々入りますが、非常に怪しい見解かと。

 タロットの解釈がスムーズにできない、というお悩みを抱えて来訪される方も多くおりますが、みなさん「タロットの意味」にとらわれて、頭がデジタル化してしまっている様子。「この札にはこのような意味がある」という方程式を用いては、タロット解釈に限界がきてしまうのです。

 タロットは、絵でありますから。言語とは対照的な表現法、意志伝達ツールである絵。言語による表現が明示であり、絵による表現は暗示であります。伝えたいことを暗示的に、抽象的に、象徴的に表現したものが「絵」でありますね。どんなに細かく具体的に描かれたものでも、「絵」は「絵」なのです。言語によって左脳に伝えられるメッセージを期待して、タロットの絵柄を眺めるから、「読めない」「感じ取れない」「意味がわからない」とう壁にぶつかるのです。

 まずこの「象徴」を熟知していただきたいところです。

  絵柄、記号、色彩、形状による暗示的な抽象表現を「象徴=シンボル」と言いましたね。
例えば、ハトで平和を、王冠で王位を、白で純潔を表現するような、直接的に知覚できない概念・意味・価値などを、それを連想させる具体的事物や感覚的形象によって間接的に表現することが「象徴」です。

 通常、私の講座では、まず一枚一枚の札を取り上げ、そこに描かれているひとつひとつの絵、柄、その色、形状について、シンボリズムに基づいた解釈をお伝えして参りますが、それだけではなく、それらの部分部分がひとつになった時の図柄、構図、配色等により「絵」全体としてその構成がどうしてそうなったのか、作者がどういうメッセージを込めたのかというアルカナの解釈の根拠となることまでもをご理解いただきます。

 さて、ですから、頭をアナログに切り替えて。一連の大アルカナは、人間の徳性、精神性、人生における事象を象徴する、「象徴札」です。繰り返しますが、その象徴を解釈するために、描かれているひとつひとつの絵柄、記号、色彩、形状を解釈してゆく必要があります。「基礎はできているが、複数枚の札が展開されると、読めない,,.」ならば、ホントに心底、もう一度「基礎」に帰ることが、タロット熟達の最短距離かと思われますよ。

 19世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパ諸国に起こった、外界の写実的描写よりも内面世界を象徴によって表現する「象徴主義(シンボリズム)」、まさにこのはしりたる14世紀発の象徴札、視覚的玩具、タロットなのです。ルネッサンスという運動は、イタリアから起こりました。その背景には、フィレンツェ、フェラーラ、ミラノ、ヴェネツィアなどの都市の発展があり、これら都市は貿易などによって経済が発展し、人口も増加、さらに貿易は東方の物や思想を取り入れるようになるのです。古代ローマ帝国の遺跡を始め、そこに導入されたエジプトの文明、文化遺産も残っています。現在のような明確な国家、国境の概念がなかった乱立都小都市国家状態の中、文化を高めようとします。そして、フィレンツェのメディチ家、フェラーラのエステ家、ミラノのビスコンティ家やスフォルツァ家など資金面などで芸術家を援助するパトロンが登場したのですね。この歴史的背景あっての、タロットなのです。(井上談)


 札の展開法  
(PIERPONT-MORGAN VISCONTI-SFORZA TAROCCHI DECK)のブックレットより
42枚の札による10枚展開法
Ten-Card Spread With 42 Cards
 大アルカナ、そして16枚の人物カード、各スートに見られる4枚のエースを使って、42枚のカードをワン・デッキとした10枚展開法を利用することもできます。この場合、占い師は4つのスートのそれぞれにおいて10から2までの36枚の数札をパックから取り除く必要があります。

 質問者が42枚のデッキをシャッフルする前に、占い師がカードを順番に並べる必要があり、次のようになります。剣のエースを置き、同じ剣のスートのペイジ、ナイト、クイーン、キング、そしてまた同じ順番で、棒のエースと人物カード、そして聖杯のエースと人物カード、その次に貨幣のエースと人物カードを置きます。「愚者」のカードは聖杯のキングの次に置き、そして1から21までの大アルカナが次に置かれます。このように、デッキの一番下には剣のエースが伏せられた状態でテーブルの上に置かれ、シャッフルに入ります。
78枚の札による10枚展開法
Ten-Card Spread With 78 Cards
 タロット・デッキ全て78枚のカードを利用して同じスプレッドを使用することもできます。最初に、占い師はそれらのカードを次の順番で並べなければなりません。エースとキングの間に剣のスートのエースからキングまで、棒のスートのエースからキング、聖杯のスートのエースからキング、貨幣のスートのエースからキング、次に「愚者」、その次に1から21までの大アルカナが置かれ、ここでも剣のエースが、デッキの一番下になり、すべて札は占い師がシャッフルするために、質問者の目の前に表を伏せた状態で置きます。


ファイブレイヤー展開法
The Five layers


LoScarabeo社にて配信されているヴィスコンティ・ミニ・ゴールド・タロット解説書PDFファイルから抜粋
青字は当サイトからの導き的な解説です。(訳文担当S.S.)

 タロット占いは簡単なものです。まず最初に、占いのスプレッドやレイアウトが何であるか、ということを理解しておかなければなりません。質問者の質問に答えるために、占い師は一定の配列に従いタロットカードを配置しなければなりません。配列の各位置は、答えの部品に相当するのです。

  リーディングは、一定の位置に現れる、アルカナの占いの意味を理解することによって行われます。
一例に、"ファイブレイヤー"と呼ばれるトランプ占いのスプレッドを紹介しましょう。オリジナルのヴィスコンティのアルカナが、カード上に非常に薄い金箔を重ねた後、エンボス加工して作成されているのと全く同じように、それぞれの状況は、表面からは理解の及ばないほど、細かく解釈することがあるのです。この占いのスプレッドは、物事の隠れた局面を観察するのに役立ちます。質問者がカードをシャッフルしてデッキをカットした後、図で示したように、5枚のカードを展開します。

1) 表面。金色。状況が不明瞭になることなく、最も良い環境であるように思われる。
2) セカンド・レイヤー。銀色。事態は配慮と考えによって、どのように変化するか。
3) サード・レイヤー。銅色。妄想と嘘を備えた不可解な側面を、どのように表面化させるか。
4) ファイナル・レイヤー。金色。物事の良い本質、悪い本質がどのように現れ、その真実に迫るか。
5) 希望のレイヤー。どのような方法で私たちの望む状況を作り、その状況自体を変化させるか。物事を変化させるための努力。

 このリーディングは、状況や出来事、または心の状態ごとに、進行的に増えていくことを認識して解釈しなければならない。否定と肯定の局面の間を揺れ動きながら、最後には、質問者が備えている、事態を変化させ、関与している状況をコントロールするためのエネルギーを無視しない、明瞭な結果を導き出さなければならないのです。



 
タロット占いは簡単なものです。と述べつつも、ひとつの展開法の組み立てや仕組みについての理解を促している冒頭から、課題を感じさせる解説文です。そう、「部品」について、知識や理解がなければ、本体を組み立てられるわけもなく。
 何のために、展開法はあるのでしょう? 何のために一定のルールでもってして配置する決まりが?
 展開した札が読めない、というご相談が結構多い、つまり、展開に振り回されがちなタロットユーザーの方が多いようですが、本来は、タロット・カードを配置することによって、より質問者に的確なコメントをすることができなければらないのです。 ですので、振り回されてしまうようならその展開はまだ使う時ではないのです。自分にわかりやすい、展開法を使用しているのが良いでしょう。しかし、古来から伝わる数と図形の象意を持って編み出された展開法を使う利点というものもまた存在するのです。優れたタロット使い師であれば、その利点を存分に活用することができて然りでしょう。スプレッドについて、よく質問が寄せられるが、多くの方がこういった原理的なところでつまづいているようにも感じられます。
 そして、実際にこの展開法では、横一列に札を配置する法則が用いられております

ファイブレイヤー展開法による実践鑑定記録☆
ご相談内容
『このたび、前方不注意による事故を起こしてしまいました。幼少時より私も含み、周りでもトラブルが絶えないんです。
|なぜそうなるのかと、いつも考えてしまいます。 どうしたら、少しでもトラブルが減るのでしょう??
なにかアドバイス頂けないでしょうか??よろしくお願いします。』(19才、女性、Mさん)

上記1) 〜5)は、訳文のぎこちなさのせいか、もともとの国民性の違いからか、私にはいかんせんそのままでは使用し難い。よって、下記の設定と改め、札を展開させていただく。

1) ファースト・レイヤー  質問者の現状 到達し得る最高の段階、顕現し得る事柄
2) セカンド・レイヤー   今後の変化
3) サード・レイヤー    不可視の事柄、見えていない要素、潜在性
4) ファイナル・レイヤー  本件の本質的な事柄、質問者の姿、本質でも良いだろう
5) 希望のレイヤー    本件におけるカギ、本件を好転させるための努力
展開した札の記録(和文タイトルにて)
1)  月
2)  皇帝
3)  愚者(逆)
4)  法王
5)  運命の輪


ご回答


Mさん、お待たせを致しました。

現状には「月」の札が出て、希望を持ちようにも持てない、深く沈み込んだ様子が伺えます。あまり落ち込み過ぎると、心にも身体にもネガティブに影響しますからね、意識的に明るい方へ行くように、心がけて下さい。光がたくさん当たる場所、昼間の活動、気持ちが明るくなる、軽くなる人とのおつき合いなどを中心に、生活を変えてみるのも良いと思います。「トラブルばかりで、どうしてこうなるの?人より自分のほうが大変、私だけ何か特別なものがあるのでは・・・」そんな風に、ネガティブなほうへ行けば行くほど、暗転の波に飲まれしまいますからね、今はこの波を跳ね返そうという意識も大切なのです。

さて、アドバイス札には「運命の輪」が出ますから、これもやはり「平坦な人生などあり得ない」というメッセージです。Mさんだけでなく、多くの人が、
誰もが幸せで平穏な人生を望むでしょう。しかし、それ自体、あり得ないものなのです。人生って、苦しいことや辛いことのほうが、多いものなのです。この真実を直視して、受け入れましょう。

そして、幸不幸について、人との比較は禁物です。私達は誰も他人の人生のすべてをかいま見ることはできません。一見、幸せそうに見える人が、影でどんな苦しい、辛い立場にあるかなど、知る由もないのです。事故に遭えば、事故に合わず平穏に暮らしている人をうらやましく感じるかもしれませんが、それが人情だとしても、その一面だけ、表面的なことだけで、誰の幸せも推し量ることはできないのですから。人よりたくさんトラブルに遭っているような気がしても、どうか、あなたは世界中の人達のあらゆるトラブルを知っているわけではないのですから、そんなところで比較のしようがないことを、改めて考えてみましょう。

言い換えれば、この宇宙は至極、平等にできているものなんです。少なくとも私自身はそう思っています。タロットを本格的に扱い始めてから、富みにそう感じるようになりました。自分のこと、他者のこと、タロットを日々繰り出しながら実感することです。山もあれば谷もあり、嬉しいことの次には落ち込むことが待っている。それらは、太陽の光も雨も、どんな人の頭上にも、差別なく降り注ぐものですよね。浮いては沈む出来事がくり返しくり返し発生します。これが人生なんだと、誰の人生にも確実に起こります。

幸いにも、今後の札には「皇帝」が出て、Mさんが、エネルギッシュに運命の輪に立ち向かってゆける様子が伺えますよ。トラブルを回避しよう、というより、トラブルはどんな人にも起こり得る、人生に付きものの出来事ですから、その時勇気と行動力を発揮することで、乗り切ることです。人生に起こるできることは、すべてあなたに扱われ、解決されるために発生するのです。どれもこれも意味のある重要な事柄ばかりなのです。どうして自分に起こったのか?その意味を考えながら、乗り越えて下さい。

「法王」があなたの札として出ています。社会性、道徳性、規範性を示す札ですから、Mさんが社会人として完全に自立すること、良き導き手としてのお立場を確立されることで、今より人生は安定するかと思われます。直接的にトラブルを回避する方法などに思いをおよばせなくても、あなたが日々をしっかり生き、公明正大に振る舞うことで、自分に責任を持てるようになることを目指して下さい。

誰もが時には感情のままに、自由奔放に振る舞いたくなる時もあるでしょうが、潜在性を示す札に出ている「愚者」が要らぬトラブルまでも引きつけた可能性があることを暗示していますので、ちょっと注意しましょう。人間は社会的な生き物です。社会でどう評価され、どう生きて行けるか?その観点を忘れないで下さいね。「法王」に対応するハーブは、ヨーロッパの代表的な家庭茶、健康茶でもある「カモミールティー」。食後に召し上がる習慣をお勧めいたします。

Stella Maris Nahdia

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